スズ はんだメッキ

 スズは比較的貴な金属で大気中で変化しにくく、薄い有機酸にはほとんど侵されず毒性も低いので、缶詰など食品用器具に用いられていました。最近では展延性に富み、電気抵抗や接触抵抗が低く、はんだ付け性も良いので、電気部品のメッキとして多用されてきました。
 スズは比較的軟らかい金属であるため、機械の摺動部分にメッキしてなじみよくする役目もはたす。その他の用途には、窒化防止などに用いられる。
 しかし、メッキ表面から細くて鋭いウィスカーと呼ばれる髭状結晶が成長し、これが微細回路等のショートの原因となることから、その対策が考えられ、少量の鉛を含んだはんだメッキに移行しつつあります。
 スズメッキ浴は、スタネート浴と呼ばれるアルカリ性メッキ浴と、酸性浴に大別できます。
 スタネート浴は、スズ酸カリウムまたはスズ酸ナトリウムと水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムとから構成される浴で、4価のスズから電着します。この浴は特に添加剤などを添加せずに、鈍い銀白色のメッキが得られますが、メッキ速度が遅いので厚いメッキをするのにはあまり適していません。しかし、均一電着性が良く、アルミニウム合金素材に直接メッキができるなどの特徴があり、浴管理が比較的簡単なので、厚さを要求されない圧着端子などに用いられています。
 メッキ浴としては、70℃前後の比較的高い温度でメッキすることも特徴的です。

 酸性スズメッキ浴は硫酸スズ浴、ほうフッ化スズ浴が代表的で、そのほかに中性浴として塩化スズ浴などがあります。
 酸性スズメッキも、光沢添加剤の開発とカドミウムメッキの廃止とが相まって普及したもので、各種の添加剤が市販されています。添加剤にはそれぞれ特徴があり、スズメッキの用途、接点用か、はんだ付け用か、または、潤滑性用かなどによって光沢剤の与える影響が違うので、選択には注意が必要です。
 また、スズメッキの後に、後処理として第三リン酸ナトリウムによる変色防止処理がよく行われます。後処理が必要であるかどうかも検討した方がよいでしょう。メッキの自動ラインに組み込まれている場合には、害にならなければ後処理を施しておいた方が、後処理を除く指定よりも手間がかかりませんから、結果的には納期やコスト面でも高くならずにすみます。
 スズと鉛の合金メッキは一般にはんだメッキと呼ばれています。潤滑用や防食用にスズを5〜10%程度含んだ鉛合金がありますが、この場合は、はんだメッキとは呼ばず、それぞれ軸受け用メッキ、ターンメッキなどと用途名で呼ぶことが多い用です。鉛に効果のある光沢剤がないため、スズの光沢剤で光沢をだしていることが多いので、鉛の含有量が増加してくると光沢が低下する傾向があります。
 最も古くから用いられていたのはほうフッ化浴です。その後、フェノールスルホン酸やアルカノールスルホン酸浴、ピロリン酸浴などが実用されなした。
 これらの浴からメッキされるはんだメッキは、主としてウィスカー対策を考慮した電気部品用のはんだ付けまたは接触部品用の用途に用いられています。

メッキ工程

 スズメッキの工程は、洗浄→酸洗→中和→(下地メッキ)→スズメッキ→乾燥 が一般的な方法である。
 アルカリ浴の場合は素材に直接メッキができるが、被メッキ体の用途により銅メッキまたはニッケルメッキを下地メッキとして1〜5μm行う。
 酸性浴では、鉄系素材の場合は直接メッキでは完全な密着性が得られないので、銅かニッケルの下地メッキを行う。特に黄銅素材の場合は、亜鉛の拡散防止(ウィスカーの発生防止)のために下地メッキを選ぶ必要がある。

ウィスカー

 スズメッキした被膜から発生する単結晶で、自然発生し生長した髭をいう、顕微鏡で拡大してみると、ウィスカーは比較的細くて長いもの、中にはずんぐりしたものなどいろいろの形状のものがある。
 ウィスカーが発生する金属として、Sn、Zn、Cd、Fe、Agなどの金属が知られており、その生長にも潜伏期間があり、最も発生しやすく生長速度の大きいものがSnである。
 電気スズメッキについて、ウィスカーの発生しやすい原因として知られていることは、
  (1)黄銅、亜鉛素地または亜鉛を含む下地メッキ上のスズメッキ。
  (2)メッキ後、高温、高湿に保たれたときは生長速度も大きい。
  (3)メッキの厚さが薄いとき(0.5〜5μm)は特に発生しやすい。
  (4)メッキや素地に残留に残留応力があるとき。
などがある。これらの対策として一般的にとられている発生防止の方法は、
  (一)黄銅、亜鉛素地への下地メッキとして銅またはニッケルメッキを行う。
  (二)スズメッキ後、溶融加熱処理をするか、または150〜180℃で約1〜3時間加熱する。
  (三)スズメッキを厚くする。
  (四)鉛(5%以上)を含有する合金メッキをすろ。
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